こんにちは、千代田区の梅田夏希です。
今回は参院選の全国比例の得票数データを基に、各党の勢力推移を考察します。
全体として
今回の2022年参院選は、自民党の改選過半数獲得、維新が立憲を抜いて2位、社民党とNHK党の政党要件維持、参政党の議席獲得などが印象的でした。みなさまの支持政党はどうだったでしょうか?
投票数
2016年 5607万票(投票率54.70%)
2019年 5007万票(投票率48.80%)
2022年 5302万票(投票率52.05%)
全体の投票数は概ねいつも通りとなりました。近年の下落傾向に飲まれなかったのは、国民の危機感の表れでしょうか、それとも多種多様な諸派が選挙を盛り上げたからでしょうか。
自由民主党
2016年 2011万票(35.91%、19議席)
2019年 1771万票(35.37%、19議席)
2022年 1826万票(34.43%、18議席)
得票数は概ね維持となりました。
自民党は毎回概ね35%の票を取り、比例区で一定の議席を獲得します。選挙区での獲得議席数が毎回異なるのは自民党自体の功罪よりも外部要因、特に、野党がまとまっているかどうかによります。何かの拍子に立憲と維新が連携すれば政権交代は間近となりますので、自民党支持者の方は自民党自体の良さを訴求するよりも、野党の連携を阻止することが党勢拡大の近道となるでしょう。
日本維新の会
2016年 515万票(9.20%、4議席)
2019年 491万票(9.80%、5議席)
2022年 785万票(14.80%、8議席)
ここ数年で大きく支持を伸ばし、ついに自民党に次ぐ投票数となりました。今後は、単に強い勢力に味方したいという利権団体も寄ってくると思うので、それらとどう付き合うかが鍵になるでしょう。
立憲民主党
2016年 -
2019年 792万票(15.81%、8議席)
2022年 677万票(12.77%、7議席)
約3ポイントも下落しており、それだけ見ても大敗ですが、それだけではありません。立憲は2020年に組織改編して同名の別組織として生まれ変わっており、その時に所属議員と支持母体の多くを国民民主党から吸収しました。その分支持は上がるはずだったことを考慮に入れると、この上ない完全な敗北と言えます。今回はついに維新に負けたことで、このまま加速度的に収縮してしまうのか、立て直すことができるのかの難しい局面に立たされたと言えるでしょう。
公明党
2016年 757万票(13.52%、7議席)
2019年 654万票(13.05%、7議席)
2022年 618万票(11.66%、6議席)
安定の支持基盤を持っている公明党ですが、緩やかに勢力が落ちています。とはいえ4位の得票数であり、当面は今まで通りの存在感を発揮するでしょう。
日本共産党
2016年 602万票(10.74%、5議席)
2019年 448万票(8.95%、4議席)
2022年 362万票(6.82%、3議席)
こちらも安定の支持基盤と思いきや、加速度的に下落しています。主要な連携先だった立憲民主党の得票も併せて下落していることで、今後の野党共闘の在り方に変化が生じるかもしれません。
国民民主党
2016年 -
2019年 348万票(6.95%、3議席)
2022年 316万票(5.96%、3議席)
得票率は1ポイントの下落ですが、こちらも立憲民主党と同じく2020年に組織改編し、同名の別政党として生まれ変わっています。その時に所属議員と支持母体の多くを立憲民主党に持っていかれた割には、なかなか勢力を維持していると言えます。残っている一人一人の議員・候補者の力は、以前より増していると考えて良さそうです。
れいわ新選組
2016年 107万票(1.91%、1議席)※
2019年 228万票(4.55%、2議席)
2022年 232万票(4.37%、2議席)
※2016年の数値は実質的に前身である「生活の党と山本太郎となかまたち」の得票数です。
安定して2議席を確保しました。比例に山本太郎氏を出さなくても一定の得票を取れた意義は大きいと思われます。結党からしばらく経ち、そろそろ実績や効果が求められる時期かもしれません。
社会民主党
2016年 154万票(2.74%、1議席)
2019年 105万票(2.09%、1議席)
2022年 126万票(2.37%、1議席)
前回の下落から巻き返し、今回も政党要件を維持しました。議会に多様性をもたらす上で意義ある1議席と言えます。
NHK党
2016年 -
2019年 99万票(1.97%、1議席)
2022年 125万票(2.36%、1議席)
見事に政党要件を維持しました。寄付を受け取らず政党助成金で省エネ運営している特性上、何としても維持したかった2%の得票を今回も達成できました。党の公約等に必ずしも賛同しなくても公認がもらえる「諸派党構想」という大変面白いシステムも、これで維持されることでしょう。
参政党
2016年 -
2019年 -
2022年 177万票(3.34%、1議席)
今回初めて政党要件を獲得しました。既存の政党から分離したのでなく自然発生した党が政党要件を獲得したことには、前回のN国党もそうでしたが、大きな意義があります。今後どう転ぶか想像も付かない政党です。
その他の政治団体
議席を獲得できなかった政治団体の合計得票数は以下の通りです。
2016年 280万票(4.99%)
2019年 72万票(1.44%)
2022年 59万票(1.12%)
2022年の内訳は以下の通りでした。
ごぼうの党 19万票(0.37%)
幸福実現党 15万票(0.28%)
日本第一党 11万票(0.21%)
新党くにもり 7.8万票(0.15%)
維新政党・新風 6.5万票(0.12%)
合計しても1議席分に満たない得票となったのは、今回は政党要件を失う政党がなかったことと、NHK党と参政党が諸派をまとめ上げたことが大きいでしょう。今の10党体制がいつまで維持されるでしょうか。
おわりに
今回は私がどこを支持しているなどという個人的なことはなるべく排除して書きました。誤りなどあればお知らせください。
注意しなければならないのは、得票数で測れるのはあくまで党のポテンシャルであり、これを選挙戦略に活かして選挙区でも当選を稼がないとあまり意味がありません。
現に公明党はこのポテンシャルを活かして各地で与党に汲み入り政策を実現させています。
他党との連携が絶対ではありませんが、現行の選挙制度が比例一本でない以上、得票数を伸ばすだけでなく選挙対策を併せて練ることが議席獲得に有効であり、かえって党勢拡大への近道でしょう。
みなさまの選挙結果分析もぜひ聞かせてください。
梅田夏希
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