こんにちは、梅田なつきです。
今回は住宅政策について思うところを語ります。
転入増より定着率向上を!
ただタワーマンションを沢山建てるだけでも、目先の人口は増えます。千代田区の住宅費はここ20年で2倍~3倍に急騰しましたが、それでも人口が倍増しました。家賃が高くても新しい住民が来てくれること自体は喜んでいいことでしょう。しかし、これだけでは末永く千代田を愛してくれる定住民は増えないと考えます。今の定着率のまま流入を増やすのでは、何らかの事情で人気が落ちたときに、加速度的に家賃が下落し、下げ止まらずに人口の再流出を招くでしょう。そんなことが起きたら、住民、大家さん、区の財政、お抱え業者に至るまで、誰も得をしません。
新しい住民にとって千代田区に転入して来る一番の目当ては都心の立地です。住職近接によって通勤電車から解放され、限りある時間と体力を有意義に活かすことに最も価値を感じています。ということは、いずれ転勤や転職で職場が遠くなることがあれば、その住まいは高い住宅費に見合う価値がなくなってしまうことを意味します。定着率を向上させるには、立地以外の価値も併せて実感してもらい、転職しても住み続けてもらうのが一番です。その努力をせずにタワーマンションを建て続けるのは、定着率向上を諦める行為に他なりません。
人口増に合わせた設備投資が必要!
一般に、人口が増えるのはそれだけ選ばれている証拠であり喜ばしいことです。しかし、千代田区の人口増加はあまりに急激すぎるために、人口の乱高下に合わせた都市設備が追い付いていない部分があります。
特に、小学校の教室不足が顕著です。20年前の人口減の時期に、かつて14校あった小学校が8校に再編されました。その後人口が回復したにもかかわらず、区は廃止した小学校を復活させることなく8校のまま継続しています。跡地は既に公園や住宅などに転用されていて元に戻せません。このまま増加を続ければ、再度麹町小学校のように追加の改装が必要になるでしょう。いつまで増築が可能か、そのコスト負担は大丈夫なのか、大いに心配なところです。
人口増を目指すなら、先に小中学校の定員を無理なく増やす目途を立て、人口予想に応じた適正配置を目指す必要があります。
どうやって定着率を向上させるか?
住民の定着率を向上させるには、住み続けられなくなる要因を一つずつ取り除く必要があります。区民の不満第一位は住宅費の高さですが、下げればいいというものでもありません。商売においては値下げは最終手段であり、それよりも値段に見合うだけの付加価値向上を先に目指すのがセオリーです。手っ取り早く下げるには、供給を急激に増やす方策がありますが、それは前述の通り小中学校の設備不足と、いずれ来る再流出の勢い激化を招くので慎重になるべきでしょう。
私は、住宅の建築ペースは今のまま急激に変化させることなく、助成金改革とコミュニティ活性化の2本柱で取り組むのが良いと思います。
低所得層向け家賃補助の強化
まず助成金については、費用対効果を見込んで低所得層向けに絞るのがいいでしょう。超高所得層は、住宅費が高くてもあまり困りません。中~高所得層は困っていますが、狭い物件や古い物件に移り住んで住宅費を抑えるという選択肢もありますので、助成金を積み増すよりは後述のコミュニティ活性化など付加価値向上の方を主軸に住宅政策を考えるべきでしょう。
住宅費が高くて一番困るのは低所得層です。低所得層だけに限定して家賃補助を出せば、比較的安い投資で定着率を向上させることができます。定着させたところで住民税の収入に繋がりませんが、それでも定着してもらった方が長期的なメリットを見込むことができると考えます。
具体策として、区民住宅と次世代育成住宅助成の所得制限の撤廃はかなり効果が高いと思うので推したいところです。区民が住宅費の負担を抑えることが出来る両制度ですが、どういうわけか所得制限に下限があり、低所得者は利用することができません。短期の財政上のメリットしか見ていないこの設定はすぐに変えるべきでしょう。区民住宅は高い定着率が見込め、コミュニティ活性化に寄与します。次世代育成住宅助成は千代田区出身の人物を作るため、長期的なメリットが見込めます。両制度を改正しても足りなければ、その場合は新たな家賃補助制度を考えるべきでしょう。
コミュニティ活性化
町会加入率を上げる取り組みはしているようですが、会費を払うだけのペーパー町会員を増やしても意味がありません。町会行事に参加してもらってこそ実質的に意味のある施策になります。家族連れのための行事、古参中心の行事も良いですが、それらと並行して誰もが参加したくなる行事を企画してもらうのが良いと思います。
九段生涯学習館には様々な趣味や学習ができるサークルがあり、参加してみると意義深いものです。しかし、ほとんどの区民は参加したことが無く、存在すら知らない方も多いようです。決して慈善事業でなく、コミュニティ活性化により住民同士のつながりを強固にし、長期的なまちづくりの土台とするためになりますので、よりPRを強化して良いでしょう。各種私的サークルの活動も支援して良いと思います。
いずれにせよ、地域の温かい繫がりは、求めれば得られるものだと分かってもらう必要があります。
方法はコミュニティ活性化だけではないと思いますが、初めは交通網の充実だけが目当てで千代田区に住み始めた方にも、より千代田を好きになってもらい、住み続けてもらう工夫が必要です。低予算でもまだまだ出来ると思います。
まとめ
私の考える、千代田区が目指すべき住宅政策の在り方は以下の通りです。
<基本方針>
・新しい住民に千代田を好きになってもらい、定住率を向上させる。
<具体策>
・転入を増やす策は小中学校整備の目途を付けてからにする。
・家賃補助制度を低所得者向けに強化する。とりわけ所得制限の下限設定をやめる。
・地域コミュニティを活性化させる。
現時点での私の考えが唯一の正解とは思いませんが、
区が具体策を起案したときには、この方針の元で賛否を検討しようと思っています。
これに対して賛成、反対など、
皆さまのご意見や体験談など是非ともお聞かせください。
梅田夏希
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