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執筆者の写真梅田夏希

違法喫煙者の心理を想像する ~マイルールとどう向き合うか~

こんにちは、千代田区の梅田なつきです。

今回は路上喫煙などを繰り返し行う『違法喫煙者』の気持ちを想像してみます。

違法喫煙者は、愛煙家からも白い目で見られ、単に異端者の烙印を押されがちです。

しかし、彼らを単に悪者扱いして終わるのではなく、なぜ悪者になったのか、なぜ悪者でい続けるのかを我々が想像することは、違法喫煙者を減らすのに有効だと思いますので今回はそれを試みます。



意識と無意識

 

少し心理学っぽい話を挟みます。我々の脳の構造を読み解くと、意識は行動を決定する力をほとんど持っていないと言われています。無意識が行動を決定し、その行動理由は意識が後付けで決めるのだそうです。例えばピッチャーがボールを投げたとき、バッターの脳内では無意識が打ち返す行動を決定し、打ち返した後で意識は「ボールが飛んできたから打ち返した」というストーリーを後付けで作り出すそうです。意識である我々はこれを読んで「そんな馬鹿なことは無い。私は私の意思でボールを打ち返しているぞ」と思いますが、このような意識無意識の働きは、分離脳患者などを使った実験である程度実証されているようです。

これを違法喫煙者の行動に当てはめると、路上など吸ってはいけない場所でタバコに火をつける行動は無意識が先に決定していて、なぜ火を付けたのかの理由付けは意識が後から決定していることになります。



違法喫煙者の『マイルール』

 

観察する限り、喫煙者はどういう場所なら吸っていいかというマイルールをそれぞれに持っていて、違法喫煙者はこれを条例などより優先しているようです。例えば、表通りはダメだけど裏路地ならOK、駐車場はOK、コンビニの前はOKなど、基準は人により異なります。多くの違法喫煙者は、近くに喫煙所があってもこのマイルールに合致する場所では喫煙OKと認識しているようです。ただし、このマイルールを決めているのは無意識です。現に路上喫煙している人に聞けば、おそらく「喫煙所が無いから仕方なく路上で吸っている」と主張するでしょう。意識では本当にそう思っているのかもしれません。



マイルールの性質

 

違法喫煙者のマイルールは文字表示よりも優先されるようです。皆さんも、「禁煙」などと掲示されている場所で違法喫煙者が平然とタバコを吸っている姿を見たことがあると思います。その人たちが日本語や英語を読めないわけではありません。マイルールで「ここは吸っていい場所だ」と認識されている場合に、文字表示は効果がないようです。

ただし、「ここで喫煙したら損害賠償10,000円を徴収します」と書くと喫煙者はかなり減ります。文字情報に全く効果が無いわけではないようです。

有人監視はマイルールよりも優先されるようです。駅構内や地下街で喫煙する人はまず見ません。頻繁に駅員、警備員や店員が見回りしている場所に、違法喫煙者は現れないようです。また、「駐車場はOK」と認識している違法喫煙者であっても、監視員がいる駐車場では吸わないようです。

音声もマイルールより優先されるようです。私の家の近所の駐車場が「ここは禁煙です」と自動音声で放送し続けた結果、違法喫煙者がかなり減りました。自動音声でも効果があるようです。


これを総合するに、どうやら文字情報は「意識」には作用するが「無意識」への作用は比較的弱く、監視員が立っていたり、音声でアナウンスされている場合には「無意識」への作用も強いと予想できます。



マイルールに干渉するには

 

さて、説明が長くなりましたが、違法喫煙者のこの行動傾向を踏まえれば、効果的な対策が打ちやすくなるでしょう。

例えば、以下のような対策が考えられます。

監視員を立てる(千代田区では実施中)

路上禁煙の音声をまちじゅうに放送する(千代田区では実施中)

・防水の音声プレイヤーを貸し出し、一定期間設置する

・禁煙表示には監視員のイラストを入れる

・たばこのパッケージの警告表示にもイラストを入れる


このような対策アイデアを出すと、また対策を増やすのか、規制を増やすのかと言われそうですが全く逆です。効果的な対策ができれば、効果的でない対策を廃止してコストカットが出来ます。効果的な規制を制定できれば、無駄な規制を廃止することができます。


特に、以下のような対策は違法喫煙者に対して効果が薄いと考えられます。

・喫煙所を増やす

・「禁煙」の文字表示を増やす

・罰則を制定するが表示も執行もしない

・たばこのパッケージの警告表示を文字にしたまま面積を増やす

・特定の時間帯だけ路上禁煙にする

・たばこ税を増税する


こうした無駄なコストや規制は少しでも減らして、効果的な対策を目指したいものです。

こうした心理学的なアプローチも有効だと思いますので、今後随所で提案していこうと思います。



梅田なつき

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