投票率を上げるには
- 梅田夏希
- 2022年5月30日
- 読了時間: 8分
こんにちは、梅田夏希です。
以前、私が昔選挙に行かなかった5つの理由をこのブログに書きました。
今回はそれの続きで、投票率を上げる活動をしている人たちへの提案を書きます。
(前回記事は読まなくても理解できるように書いていますので、リンクは貼りません。)
まず前提として、私は初めて選挙に行ったのが31歳の時です。自身が選挙に出るようになった今でさえ、実は選挙には行ったり行かなかったりです。
こういう立場から投票率を上げる方法を語る記事は見たことがなかったので、この機会に書いてみようと思います。
「投票率を上げるにはどうすればいいか」を論じる人たちは、なぜかどなたも投票率は高い方が良いことを前提としており、そこを掘り下げることをしません。しかも、行かない人の気持ちはまるで分っていません。そこを理解していない限り、行かない人を行かせることは決してできないと思うからです。

Thor DeichmannによるPixabayからの画像
なぜ投票率は高い方が良いのか
選挙に毎回行っている人たちに、なぜ投票率は高い方が良いのかと質問をすると、大抵は以下のような答えが来ますが、いずれも行かない人には説得力を持ちえません。
行く人「一部の人の意見で決めるより、みんなで決めた方が良い」
→行かない人(なぜ?詳しい人だけで決めたって良いでしょ…。)
行く人「行かない人の意見は政治に反映されないけど、それでいいの?」
→行かない人(別にいいから行ってないんですけど…。)
行く人「一部の人の利益のために政治が動いてしまう!」
→行かない人(そういうこの人も、良い社会を作ってくれそうな人より自分の利益団体の為に投票してるのかな…ドン引きだな…。私はこうはなりたくない。)
そもそも行かない人の思考回路が分かっていない人たちの答えは、このようにいつだって周回遅れです。具体性を欠く精神論です。実のところ、投票する/しないの意義については、行かない人の方が敏感に感じ取っているとみて間違いないでしょう。
投票率を上げたい人は、精神論でない具体的な理由を添えて投票率向上を訴えない限り、投票に行かない人の心には決して届かないことを肝に銘じてください。
では、どんな理由を添えればいいのか?思いつく限り以下に列挙していきます。
1.そもそも行く理由がないという人には
もとから選挙に興味がなく、行くかどうか検討すらしたことがないという人はたくさんいます。この人たちに行かない理由は存在しません。強いて挙げれば行く理由がないからに他なりません。
この人たちに必ず選挙に行ってもらえるような殺し文句はないでしょう。
この人たちにはそもそも興味を持ってもらう必要がありますが、何に興味を持つかは人それぞれだからです。
あらゆるアプローチを試みるほかありませんが一つだけ言えるのは、今までの選挙に興味を持てなかった人たちですので、今まで通りの平凡な声掛けを踏襲しても意味はありません。
ここに関しては、有名泡沫候補の皆様が果たしている役割は大きいものと思います。もしあなたが既存の大政党の一員であり、品行方正で無難なアプローチしかできないのだとすれば、この層へのアプローチは諦めた方が良いでしょう。
2.誰が当選しても大差ないと思っている人
ここも、諦めた方が良いでしょう。すぐに戦争を起こすレベルのとんでもない候補が当選圏内に入れば、誰かが呼びかけなくてもこの層は勝手に投票に行くので、放っておいて構わないと思います。
政治に詳しい人は「戦争ほどでなくても、今は非常時だ!」と思っているかもしれません。しかし、断言しますが、たとえ消費税が20%に上がったとしても、個人の生活に与える影響はライフイベント(転職、結婚、出産など)の足元にも及びません。どこから大差と感じるかは人それぞれなので、あなたが例えば「維新が野党第一党になること」「社会保険料が1.3倍になること」「また10万円給付されること」などをとんでもない事態と捉えていたとしても、そこにアンテナを張っていない人にその事態を告げたところで決して投票に行くことはありません。
3.政治のことをよく知らないから投票しない人
ここは、アプローチのしようがある層です。方法は2通りあります。政治に詳しくない人が投票を躊躇する理由が2つあり、1つは単純に面白くないから、もう1つは詳しい人が投じる票の価値を薄めたくないからです。両者は全然違います。
まず、単純に面白くない、興味がないと思っている人には、選挙自体の面白さか、推しの候補の良さを知ってもらうアプローチが有効でしょう。この場合だけは論理一辺倒でなく、熱く語るのも有効です。
他方で、詳しい人が投じる票の価値を薄めたくないと思っている人には、冷静に投票の価値を説明する必要があります。特に、適当に投じた一票にも組織票の価値を薄める効果があることは強調して説明するといいでしょう。かつての私もここに属しており、適当に投票するぐらいならしない方がいいと思っていました。
4.経済合理性がないから投票しない人
たった1票によって選挙の結果が変わることは、1000回に1回程度しかありません。このように、自分の1票の価値を正確に理解しているリアリストに投票に行ってもらうには、具体的効果を訴求するのが良いでしょう。市議選であれば、まさに1票で結果が変わる可能性があること、国政選挙であれば、政党助成金の得票割を説明することが有効だと思います。
それ以外の選挙(市長選、県議選、知事選)に1票を投じる経済的価値は私は見いだせないので、ここを説明できるという方は是非教えてください。
5.行かなくても投票権は確保されているからいいと考える人
この層へのアプローチも無理でしょう。そもそも民主主義は最良を選ぶための仕組みではなく、最悪を防ぐための仕組みでしかありません。上の2と重なりますが、最悪の候補者が当選圏内に入ったときには、この人たちは投票に行きます。無理に平時の選挙に行かせず、その時まで放っておくしかないでしょう。
私が選挙に行くようになったきっかけ
私が初めて選挙に行こうと思えたのは、自分の一票に組織票の効果を薄める価値があることに気付いたからでした。それまでは、政治に詳しい人が投じる1票の価値を自分の無責任な1票で薄めたくないので行きませんでした。組織票なり、政治献金の力を軽く見ていたためです。たくさんの人に投票に行く意味を聞いても精神論しか聞かされず納得できなかったところ、私はここを訴求されて、ようやく投票に行っても良いかと思えるようになりました。
やってはいけないアプローチ
逆に、投票に行かない人たちが余計に行きたくなくなる、逆効果のアプローチを書いていきます。
精神論でしかないもの
「一部の人の意見で決めるより、みんなで決めた方が良い」
「行かなきゃ変わらない」
「あなたが行けば変わる」
↑宗教の領域であり、怖さすら覚えます。あまりに具体性を欠いているので、理論で補強しましょう。
明らかなデマ
「若者が投票に行かないから政治家は若者の方を見ない」
↑投票しないからでなく、人口が少ないからです。さらには、おじいちゃん政治家も、おばあちゃん有権者も、若者のために動く人はたくさんいます。単純に高齢者に失礼でもありす。
「選挙にもいかない奴に文句を言う資格はない」
↑人権意識を疑う発言です。既に言ってしまったことがある方は今からでも撤回しましょう。投票の他にも、住民開示請求、陳情、SNSでの意見表明に至るまで、政治に影響を与える方法はたくさんあります。あらゆる手段を使い分ける権利があるのに、投票だけを神聖視するのは、法解釈でなく信仰です。押し付けないでください。
なぜか悪者扱い
「投票に行かないなんて無責任だ!」
↑よく考えずに投票するのとどっちが無責任なのかは主観の問題です。感想の押し付けはやめましょう。
「じゃあ税金がどう使われてもいいってことだね!」
↑決めつけないでください。
やってはいけないアプローチをしないためには?
基本的な議論の心構えが大事です。まず、「事実」と「評価」は分けましょう。ここでいう事実とは、投票にどんな具体的な効果があるかのことで、評価とは、あなたの感想です。
そしてできれば「事実」を8割以上、「評価」を2割以下で伝えた方が、相手には伝わりやすいでしょう。選挙は素晴らしいんだ!という熱い想い(評価)だけを伝えても、相手は何の情報も得られず、判断が変わりません。
それ以前に、あなた自身が投票の具体的効果を理解していないのであれば、そこは掘り下げて考えてみましょう。
おわりに
投票率を上げようとしている人の多くは、投票が「いいこと」だと信じているようです。私はここからして違和感を持っていますし、投票に行かない人もそうでしょう。
このような“価値観”の違いのほとんどは、単に情報共有不足から来ています。人はそれぞれ異なる経験していますので不可避ですが、決して乗り越えられない壁ではありません。
精神論での説得はまず無理と知って、相手が持っていない重要な情報が何なのかを把握することが必要です。(私の場合は組織票や政治献金の効果を低く見積もっていたことでした)
投票に行かない人の気持ちは十人十色、行ってもらうアプローチも千差万別でしょう。以上はあくまで私の事例から想像できる範囲でしかありません。
いずれにせよ、投票率を上げたい人は「投票は行くべきものなんだ!」という自分の正義を押し付けることなく、丁寧な対話を心掛けることが大切です。
梅田夏希
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