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執筆者の写真梅田夏希

生活保護体験記①~申請編~

 みなさん、お元気ですか!?

 私はそれなりに元気でやっています。


 ただ一つだけ問題が発生しました。ここ2年ほど定職に就かず、貯金を切り崩して生活してたんですが、いよいよ貯金が尽きかけてしまいました…。そこで、転職活動と並行して、生活保護を申請してみました。

 生活保護の制度は知っていても申請したことは無い、周りにも経験者がいない(名乗り出ない)、よって詳細は分からないし実感もないという方がほとんどかなと思いますので、ちょっと体験記を綴ろうと思います。実際に調べて、申請もしてみて、特に驚いたことが4つありましたのでまずはそれを紹介します。



驚いたこと① 生活保護費33万円!?

 

 まずはネット上で情報を集めて、月々の生活保護費を試算してみるところから始めました。てっきり20万円強だと思っていたのですが、信憑性不明ながら331,790円という予想以上の金額が出たので驚きました。土地柄家賃が高いのと、子供が多いことでこの金額になったようです。現に生活が苦しいという方は、一度調べてみるといいと思います。働いていても生活保護水準に達していなければ差額を申請することができます。



驚いたこと② 借金は一切考慮されない!

 

 1ヶ月分の生活費を超える貯金を持っていると審査が通らないとは聞いていました。そこで保有資産を整理してみたところ、154万円の現金預金121万円のリボ残高があることが分かりました。差引33万円の持ち合わせなので十分通る可能性がある、と思って窓口に行きましたが、このままでは154万円持っているものとして審査され、まず通らないと説明されました。まさかの破産前提!?

 ならば!とリボ残を一括返済し、現金預金の計上範囲も聞いたので数え直し、今度は50万円の現金預金と20万円のクレジットカード一括払い残高がある状態で行きました。共に1ヶ月以内にある7/28の家賃支払いと8/1のカード引き落としで預金がほぼ尽きる旨説明したものの、やっぱりダメでした。これでも申請日時点で50万円持っているものとして審査され、1ヶ月分の生活費を超える貯金を持っている以上通らないそうです。

 それならば!!とクレジットカード会社に連絡し、一括払い分も入金させてもらって、ようやく申請に至りました。

 どのみち8/1に無利息で引き落とされる予定の20万円を7/11にわざわざ連絡して振り込むというのは、金融的には無意味な行為というか、なかなかに不毛なのでちょっと疲れました。



驚いたこと③ 窓口対応が丁寧!

 

 現に職がないとはいえ多少のスキルはあるし学歴もあるし、大きな病気はありません。働ける人が行くときっと高圧的な人が出てきて、水際対応されるのだろう…!とかなり緊張しながら行ったのですが、幸いとても親切で丁寧な対応を受けました。相談のときと申請時と合わせて4人の職員さんとお話ししましたが、全員が丁寧だったので多分これが千代田区役所保健福祉部のスタンダードな対応なんだろうな、と想像します。

 私は直近で選挙に出ていたこともありどうやら顔が知られているようで、それゆえ慎重な対応をされたのかな…?と最初は勘繰ってしまいましたが、4人共自然体な対応だったので、きっと普段から親切な対応をされているんだろうと思います。好感の持てる方ばかりでした。



驚いたこと④ 給付は申請日に遡って開始!

 

 てっきり保護費は審査が済んで支給決定した日から計算されるのかと思い込んでいましたが、そうでなく申請日に遡って給付されるとのことでした。審査には2週間ぐらいを要するため、この分の保護費も支給されることはありがたい!……と最初は思ったのですが、困ったことも起きました。生活保護受給者の医療費は全額免除となるところ、申請から審査終了までの間は従来の保険証が使えないとのこと。ええ…風邪引いたらどうするの!普通に3割払わせて!

 審査の結果が出て、支給決定となれば生活保護で全額負担してくれるとのことですが、不支給となれば改めて手続きをして、従来の健康保険に請求する必要が出てきます。私は以前にも会社との関係で健康保険証を遡って無効にされたことがあり、その間使った医療費の精算に大変な労力を割きました。ひとまずは、これから2週間、健康に無事故で過ごせることを祈ります。

 個人的には、申請中の医療費は従来の保険を適用し、自己負担分については審査が通った場合のみ生活保護で出してもらえたら理想的です。負担額よりも、手続きの煩雑さを何とかして欲しいと思います。


 そんなこんなで、いろいろありましたが7/11に無事に申請が受理されました。これから2週間、ドキドキしながら審査結果を待ちます。



考察① 現役世代への保護の在り方

 

 さて、実体験をもとに社会の仕組みについても考察します。

 経済全体を考えると、好ましい生活保護の在り方は下記2つの条件を満たすことだと思います。


①働けない人にも健康で文化的な最低限度の生活を保障すること

②働ける人には無理のない最大範囲で働いてもらうこと


 生活保護の基本的な機能は①であるとはいえ、②も同時に満たすようなインセンティヴ設計を目指すべきでしょう。生活保護受給者の就労については、よく以下のように誤解されます。

「生活保護受給者は、働いて給料を得たところで給料と同額が保護費から引かれるため、手取りは一切増えない。」

 これは誤りで、実際には就労控除といって、概ね1割程度のお金は手元に残すことが出来ます。無理のない最大範囲で働くことが受給者本人にとっても最も幸福な状態になるよう設計すべきところ、現状その設計の基盤は出来ていると言っていいでしょう。

 個人的には、働ける人への基本支給額は今より少し減らして、その代わり就労控除を2割程度に引き上げるのが良いのではないかと思います。



考察② セーフティーネットの在り方

 

 現状の生活保護は、1ヶ月分の生活費を越える貯金を持っている人は受けることが出来ません。これを、貯金がある程度あっても減額して受けられるように変更すれば、雇用保険、育休手当、ひとり親助成、各種年金などを、生活保護制度に組み込んで統廃合することが可能なのではないかと思います。

 上述のどの制度も貯金があって生活に困らない人にも支給する制度である以上、セーフティーネットではあり得ず金融商品と化しています。特に雇用保険は事業主を保護せず、専従者は加入できず、自己都合か会社都合かで揉めるなど問題があります。

 これらを一つの制度に統廃合することは、利用者にとって分かりやすくなるだけでなく、国の側もノウハウを蓄積しやすく、制度の改良が容易になるのではないかと想像します。



 以上、実際に生活保護を申請してみて体験したこと、思ったことなどでした。もし今回の申請が通った場合、家族や役所に嫌がられない限り、生活保護にまつわるあれこれを今後もブログに綴ろうと思います。申請を検討している人はもちろん、行政担当者や政治家、その志望者などにとっても参考になる情報を発信できれば幸いです。



梅田夏希

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