今週は思い立って、千代田区議会の常任3委員会を全て傍聴してみました。今まで一般質問は何度も見たけど委員会は数えるほどだったので、進行が全然違って新鮮でした~。
今回はその要約と感想を書きます。
(写真:千代田区議会の本会議場。委員会はここではなく委員会室で行われます)
企画総務委員会
2022年2月7日に傍聴しました。
誘ってくれたS.Kさま、ありがとうございました!
最初の議題は神田警察通りの街路樹の伐採に反対する陳情の審査でした。ここは歩道拡張などの工事が行われていますが、その街路樹の伐採までのプロセスに問題があると批判されているところです。
ここの問題点は私が聞いた限りでは
①伐採に反対している沿道住民の声を十分に聞く機会を作っていなかった。
②伐採予定日の直前に住民説明会が開かれたのはあまりに遅すぎた。
③健康な樹木を伐採する工事の認可が枯損木扱いで出されており、不正が疑われる。
といったところです。現在、これらの反対意見を受けて工事は延期されています。最初から丁寧な手続きでやっていればこうややこしくならなかったことでしょうに…。
私は普段タバコ問題のような人の生き死にに関わる問題に興味を示す傾向があります。この街路樹問題はそれに該当しませんが、知れば知るほど根が深く、適正手続の重要さを思い知りました。もし陳情者の願いが届かず最終的に伐採となったとしても、陳情者が納得できるぐらいの丁寧な説明が望まれます。
(2022.1.15に予定されていた伐採は「守る会」の尽力により延期されました)
この陳情審査が目当てで傍聴に行きましたが、他にも興味深い議題がありました。「区有地等を貸し付けする前に有識者の意見を聞くようにします」という区からの提案についてですが、これは地方自治法237条2項を遵守するためだそうです。
地方自治法237条2項:(略)、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。
この条文を守るために、何故貸し付けのときだけ有識者会議をやるのか意味不明です。おそらく、最近千代田区で提訴された住民監査請求が関係しています。千代田区が区有地を民間企業に無償で貸し出し、借りた会社はその不動産を利用して年間6200万円の利益を得ていましたが、これが特定企業への不正な利益供与にあたり区の損失だとして、住民が前区長などに責任を求めて提訴したものです。
委員(議員)から、今回の有識者会議の提案はこの事件を受けて作られたものか?と質問がありましたが、答弁は「それもあるけど、前々から検討してたもので、事件は主な理由ではない」のようなものでした。傍目から見ると、いや明らかに意識してるでしょ…と思うんですが。逆になぜ賃貸以外の場合に有識者会議をやらないのか?が私は疑問でしたが、その旨の質問は出ませんでした。
有識者会議でも良いと言えば良いんですが、年間6200万円も利益を出せる時価総額255億円の不動産を無償で貸すようなときには、素直にその都度議会の議決を得る方が安全なんじゃないかな…?と個人的には思う次第です。
その他、DX推進、基本構想の検討、職員の休暇制度の改正などの議題が審議されました。
この日の委員会を見て「なんだ、委員会も面白いじゃん!!」と思ったので、2日後に予定されていた残り2つも傍聴することにしました。冒頭にも書きましたが、議論の内容はもちろん進行にも特徴があり、議事録を読むのとは全然違いました。やっぱり現場に足を運ぶのは大事ですね。
保健福祉委員会
2022年2月9日に傍聴しました。
初めにHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の積極的勧奨再開に関する陳情の審査がありました。タバコ問題と同じく人の生き死にに大きく影響する、私にとって興味深い議題です。
陳情はどちらかと言えば反ワクチン目線でのものでしたが、決して「危険だから中止を!」といった過激な内容ではなく、「やるならこれに気を遣ってね!」という建設的な提案だったため、ワクチン推進派にも受け入れやすいものでした。
委員から出た意見の中で印象的だったのは「今はコロナ禍で保健所業務が逼迫しているのだから、HPVワクチンは延期するべき」との旨の意見でした。私はこれには賛成できませんでした。コロナで失う命と子宮頸がんで失う命、どちらの価値が高いかなんて計れないのであって、どちらかを軽視しかねない対応は論外と思います。(もちろんタバコ問題もね)
傍聴席から保健所頑張れ!延期するな!と応援のオーラを送ったのですが、残念ながら保健所担当者の答弁は歯切れが悪く、質問した委員は納得できないという構えでした。これは延期か…?とハラハラしましたが、委員長や他の委員が補足質問を出し、ちょっと長い議論の末に「コロナ対応とHPVワクチン対応は今のマンパワーでも概ね両立できる」旨の答弁を引き出せたため、委員は矛を納め、晴れて延期は回避されました。よ、良かった…。
当たり前ですが、理路整然とした反対意見に対しては、理路整然と丁寧に反論してあげることが重要ですね。
その他、新型コロナウイルス・オミクロン株への対応について、国民健康保険の値上げについてなど議題が出ました。保険の話はこの前日にブログに書いたばかりのホットな話題だったのですが…審議が長引いて次の委員会が始まる時間になったため、聞けずに退室しました。残念。非常に残念。
地域文教委員会
同じく2022年2月9日に傍聴しました。
前半は子ども部からの報告でした。幼稚園・保育園・小学校の連携についての話が印象的でした。主眼を子供に置きつつも、区外への異動がある教員・保育士をどう育てるか、まだまだ検討や試行錯誤を重ねる必要がありそうです。
そして、この委員会…というか今週傍聴した中で一番白熱した議論は、後半の地域振興部からの報告の中の「旧練成中学校跡地の活用について」でした。
ここは現在学校の姿形をほぼ残したまま「アーツ千代田3331」という文化芸術拠点として活用されています。
この施設に対しては、委員から厳しい指摘が多数出ました。
①資産の性質が不明瞭。行政資産(※)か普通資産(※)か、どちらなのか(by林委員)
②区の税金で整備されている割に、管理事業者が利益を出しすぎでは?(by高沢委員長)
③中学校全体をアート施設にする必然性はあるのか。一部は他の用途に貸し出しても良いのではないか(by林委員)
④そもそも他の活用法の検討が不十分ではないのか(by林委員)
⑤巨額資産の割に担当部課の裁量で運用が行えてしまい、議会の議決を必要としないではないか(by林委員)
⑥学校の形を残す必然性が分からない。いっそアート施設に建て替えてもいいのではないか(by林委員)
(※)行政財産とは、市が直接利用する庁舎や、市民が利用する学校、公園などの公有財産のこと。原則として貸し付け、譲渡、目的外利用はできない。
(※)普通財産とは、行政財産にあたらない公有財産のこと。比較的自由に、市の裁量において貸し付けや譲渡ができる。
たたみかけるように鋭い指摘を続ける林委員に対し、担当部長も熱弁で対応しましたが、その内容は林委員を納得させるものではありませんでした。私も上記①~⑥の疑問はもっともだと思いますし、ここは林委員に賛成です。10分以上(時計見てなかったけどたぶん30分ぐらい)の双方の熱弁の末、合意に至らないと判断した高沢委員長の仲裁によってこの日の議論は中断となりました。次回までに担当部課は①〜⑥の回答なり、見通しなりをまとめて委員会に報告してくださるものと思います。委員長、ナイスです。
(写真:自由民主党千代田区議団・林則行議員
私的に今回のMVP!!
笑顔が似合うナイスガイなのでもっと写真でも笑ってほしい。)
全体の感想
今回の委員会傍聴で、議員の仕事ってある意味取捨選択が大事なんだろうなと思いました。一つ一つの話題に巨額の税金や何万人の区民の声が詰まってるので、どの議題も深めようと思えばいくらでも深められてしまうように思います。その上で、重箱の隅をつつくような質問をたくさんして質問数を稼ぐのではなく、何が区民の為なのか、どこに巨額の無駄遣いがあるのかなどを適切に見極めて、有限な勉強時間や政務活動費をうまく配分することで、今回林委員がやったような鋭い質問に繋がるのだろうなと推察します。
以前私が選挙に出たとき、応援演説してくれた方が
「梅田なつきはー!
既に市民団体で活躍しー!
広い視野と見識を持ったー!
即戦力です!!」
と言ってくれたことがあります。大変ありがたい評価で涙が出ます。しかし、有限な勉強時間や政務活動費をうまく配分できるのは、どう考えても実績と経験を持った議員経験者の方でしょう。私は多分即戦力にはなれません。なれませんが、人並みに試行錯誤を繰り返して、実践しながら何が区民の為なのか、どこに巨額の無駄遣いがあるのかなどを適切に見極める力を鍛えていきたいと思います。
その夜
幼児3人の父になって以来多分初めて、夜中に飲みにいきました。
付き合ってくれた友人に感謝!
神田警察通りそばの野菜居酒屋 玄氣さん、美味しい料理と楽しい時間をありがとうございました。2年ぶりの夜飲みにここを選んで良かった。大感謝!!
そしてキツい寝かし付けを一人で引き受けてくれた偉大なる妻に超感謝!!!
今週は公私ともに充実した生活ができていますので、
来週もこのクオリティを目指します!
目下の敵は確定申告!!
梅田夏希
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